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カンボジアの草木染と木綿の話

**** シルクのこと ****

カンボジアでは、長く続いた内戦のために多くの命が失われただけでなく、多くの伝統技術も失われかけました。シェムリアップにあるクメール伝統織物研究所は、森本喜久男氏の指導のもと、わずかに残った技術者たちの協力を得て、クメールシルクの染め織り技法の復興に努めていることで著名ですが、近頃では技術者たちによる機織の再開や内外のNGOなどの支援によって、ほかの地域でも草木染の布を織るところが増えて来ました。

ポーチ サンポットホル

カンボジアの伝統織り物の代表であるかすり布は、現地ではホルと呼ばれています。この布は主に女性の晴れ着を作る布で、写真左のように、2000年ごろまでは鮮やかな色合いの大きな柄のものが主流でしたが、数年前から技術の復興とともに写真右のような細かい柄のものがはやり出しました。写真の布はラック(カイガラムシの巣)を使った赤系ですが、市場などでは焦げ茶や黒を基調とした暗い色が主流になっています。

**** 木綿のこと ****

一方木綿の織物は、戦乱が収まり、外国から安価で丈夫な化学繊維の織り糸が入って来るようになると、市場から瞬く間に姿を消しました。今はカンボジアの市場で「コットン」と言って売られているクロマー(ロングスカーフ)のほぼ全てが、化学繊維製です。木綿製品もわずかに売られてはいますが、市場で手に入るのは、質のよいものではありません。

あるとき織り手になぜ木綿のクロマーを織らなくなったか訊ねると、木綿は引っかかって織りにくいし、化繊のほうが鮮やかな色を使えるという答えが返って来ました。

下の写真は、左が化学染料で染めた化繊、右が草木染木綿のクロマーです。化繊のクロマーは丈夫で、早く織れるために安価です。その上カンボジアの人たちが好む鮮やかな色をふんだんに使うことが出来ます。色落ちもしません。カンボジアの人たちがためらわずに化繊のクロマーを選んだのも分かる気がしました。

クロマー 草木染クロマー

2000年ごろでも、地元のNGOがわずかに木綿のクロマーを生産して販売してはいましたが、木綿の織物はまさに絶滅に瀕していました。木綿のクロマーは、化繊のクロマーの8倍もの値段がしました。それは今でも変わりません。ですから今でも市場では、質のよい木綿のクロマーはめったに手に入らないのです。

しかし政情が安定して、カンボジアを訪れる外国人が増加するに連れ、草木染のシルクや木綿を織る工房が少しずつ増えて来ました。

クロマーカンボジアで扱う布製品に使っているシルクや木綿も、そうした工房で織られた布です。最近草木染木綿を専門とする工房から、W幅の織り機を導入したとのニュースが飛び込んで来ました。これまでは98cmが最大だったのですが、テーブルクロスなどにも出来る広幅の布が手に入るようになりそうです。

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